味方1のぶろぐ

ゲームのこととメシのこと

ポケモンの話〜ソードシールド〜

たまにはゲームの話をしないとね…ということで今回はポケモン最新作であるソードシールドのお話。

なんか考察をするわけではないですがつらつら書いていきます。

※この記事はポケットモンスターソード・シールドおよびポケットモンスターシリーズ過去作品のネタバレを含みます。また、あくまで個人の見解ですので事実と異なる可能性があります。

今回は結論から話します

いつも記事を書くうちに書きたいことが抜け落ちる癖があるので今回は重要な結論から話します。

それはズバリ、今作ソードシールドは、

少年少女の成長物語として作られている

という話です。

発売当初、エール団の悪事のちっぽけさや、今作のライバルであるホップくんが「主人公が選んだ御三家に対し相性が悪いポケモン」を選ぶことが取りざたされてTwitter等で拡散された記憶があります。

ホップくんに関してはポケットモンスターの低難易度化だと嘆く文脈で拡散されていて、なにやらこのあたりはネガティブなポイントであると思われているようですが、私は今作ソードシールドでは悪の組織やライバルはちゃんと理由があってこのように設定されているのだろう、と思います。

過去の話をせねばならない

さて、ソードシールドではちゃんと理由があってホップくんの選ぶポケモンやエール団の設定がされてるよ、という話をしていきたいのですが、その話をするためにはポケットモンスターシリーズにおいて、XY以前とサンムーンの間に物語構造の大きな変化があったことを話さなくてはなりません。

それは、XY以前の「世界を我が物にせんと暗躍する悪の組織VS善良な主人公VSダークライ」というある種の勧善懲悪めいた王道ストーリーから、サンムーンでの「主人公を取り巻く人物の成長を描く」という、ある種群像劇的な構造へのストーリー展開の変化です。

XY以前

XY以前の作品で、例えば初代ポケットモンスター赤緑では、ポケモンを悪事に使い世界征服を狙うロケット団が悪の組織であり、主人公は(ほぼ)単身でロケット団と戦うというストーリーが展開されます。他の作品でも、例えばブラックホワイトでは、ポケモンの解放を謳いつつ実態は世界を手中に納めようとしているプラズマ団と、主人公及びライバルのチェレンが対抗する、というストーリーが展開されます。

この「悪の組織VS主人公(ズ)」という大筋で本編ストーリーが進行するのは初代からXYまでの共通点です。

サンムーンでは

一方、XY以降の作品であるサンムーンでは序盤からスカル団との衝突はありますが、スカル団の目的は世界征服などではなく単なる嫌がらせや迷惑行為程度で、秘密結社然としていた歴代悪の組織とは大きく違う組織になっています。

サンムーンでは物語後半になり真の悪の組織とでも言えるエーテル財団の企みが明らかになり、主人公はエーテル財団の企みを止めるために活躍することになるのですが、その理由もリーリエやグラジオ等の主人公の周りの人物がエーテル財団の関係者であるからという事情もあり、悪事を許せないから倒す、といった感じのXY以前と違っています。(なお、エーテル財団を悪の組織とするかは諸説がありますが私はサンムーンの真の黒幕であり悪の組織であると考えています。)

サンムーンでは悪の組織との対決以上に、ライバルのハウやグラジオ、ヒロインのリーリエを取り巻くストーリーと彼らの変化・成長といった点が物語の重要な要素であり、これが先述の「主人公を取り巻く人物を描くストーリー」となるわけです。(USUMは未プレイなので大変申し訳ありませんが殿堂入りまでの大筋と人物像は変わらないはずなので…ゆるして)

ソードシールドはどうだったか

さて、これまでXY以前の作品と、サンムーンにおける物語の構造の違いを説明してきましたが、ここで改めてソードシールドの本編ストーリーをおさらいしてみましょう。

殿堂入りまでのストーリーおさらい

舞台はイギリスをモチーフにしたガラル地方、主人公は隣に住む少年ホップとともに、ホップの兄である無敗のチャンピオンダンデからポケモンと推薦状を受け取り、ジムチャレンジの旅に出ます。

道中、チャレンジに挑むトレーナーを妨害するエール団と、そのエール団に応援されながらもなぜかエール団を諌める少女マリィ、ローズ委員長から推薦状をもらったトレーナーであるやたら高圧的な少年ビートと出会い、ホップを含めた3人のライバル達と時に戦いながらジムチャレンジを勝ち進んで行きます。

マグノリア博士の孫娘ソニアと昔話の英雄とダイマックスの真実を探る中、ビートが各地でダイマックスに必要なねがいぼしを集めていることが発覚、ビートは強硬手段に出てジムチャレンジの権利を剥奪されてしまいます。

主人公がジムチャレンジを進んでいくと、マリィはジムのあるスパイクタウン出身で、エール団はスパイクタウンの住人がマリィをチャンピオンにしようと過激な応援をしていたのだとわかりました。マリィは寂れた町を復興するために、チャンピオンになろうとしていたのでした。

ジムチャレンジを勝ち進む主人公。主人公に勝てず、ジムチャレンジに勝ち進んでもチャンピオンになれないのではないかと苦悩するホップ。

そんなホップをよそに主人公は順調にチャレンジを突破しついにセミファイナルトーナメント。主人公は、同じくトーナメントに出場したマリィとホップのライバル2人を撃破し、セミファイナルトーナメントを突破します。

そしてローズ委員長率いるマクロコスモスの妨害を受けつつも、ファイナルトーナメントに出場。開催直前の、ジムリーダーポプラに拾われ、フェアリータイプのジムリーダーとして修行したビートの乱入というイベントがありつつもこれを撃破、そのままトーナメントを制覇します。その過程でホップは主人公の強さを認めダンデに勝つのは主人公だと確信。マリィは兄でありジムリーダーのネズの戦いを見て、自身がジムリーダーとしてスパイクタウンを盛り上げることを決意します。

トーナメントを制覇しついにチャンピオンダンデとの対決、というところでローズ委員長が豹変し、ガラル地方の神話にある「ブラックナイト」を始めると宣言してチャンピオンとの対決は中断、主人公はローズの企みを止めるべく、ガラル地方の英雄が使ったポケモンであるザシアン、ザマゼンタ、そしてホップとともにローズが出現させたムゲンダイナと戦い、これを捕獲。

ローズ委員長は騒ぎを起こしたことを認め自首。再びダンデとの対決の場が用意され、主人公はダンデを撃破し、見事新たなチャンピオンとなりました。おしまい

ストーリー展開の変化と悪の組織の不要化

以上がチャンピオンダンデに勝つまでの大まかなソードシールドのストーリーですが、これは明らかにサンムーンでのストーリー展開と類似しています。 エール団という過去作に比べてやることの規模が小さい悪の組織、そしてそれに隠れたローズ委員長率いるマクロコスモスという黒幕の存在。ホップ、マリィ、ビートという複数のライバル達と、その成長を描くストーリー。このあたりはサンムーンでのストーリー展開と共通する点です。

このストーリーの展開で、世界征服を企む悪の組織が序盤から主人公達と敵対していると、話が複雑になってしまうのではないでしょうか。

そもそも、話のスケール感もおかしな感じになりそうです。主人公が世界征服を企む悪の組織との対決をしていく中、ライバル達は等身大の少年少女として描かれているわけです、公共の施設をジャックし悪事を働く敵幹部を倒した後、「おれ 本当にチャンピオンになれるのかな…」と思い悩むライバルとの戦闘…高低差で耳キーンなるわ!

真相のほどは定かではありませんが、少なくとも今作のポケモンには、秘密結社かカルト教団のような過去作のような悪の組織は不要だったのでしょう、私はそう思います。

だって、これは少年少女が成長していくストーリーであって、世界征服を狙う悪役を倒す英雄譚ではないのだから。

ホップの立ち位置と選ぶポケモン

さて、ソードシールドでの表向きの悪の組織エール団のやることがちっぽけなのは理由があるという話をしてきましたが、これまでの話でホップくんが最初に選ぶポケモンが、何故主人公が選ぶポケモンに対しタイプ相性が悪いのか、という理由も見えてきそうです。

それは、ホップくんは常に主人公の先を行き立ちふさがる壁ではなく、時に主人公に負けて思い悩むことのある等身大の少年として設定されていることです。

無敗のチャンピオン、ダンデの弟であり誰よりも近い距離でダンデを見ていたホップは、しかし隣に住む主人公に勝てず、偉大な兄に勝つ理想の自分と現実とのギャップに悩み、ストーリー中数回存在する主人公との対決で、パーティのメンバーを大幅に入れ替えて戦うことすらあります。これは今までの中でもほとんど前例がなく、いかにホップが悩んでいたかを表しています。

XY以前のライバルは、主人公と一緒に進みつつも一歩先を行っていて、要所要所で主人公を試してくる存在でした。金銀でのライバルが常に自分より先にジムを突破していたことや、ルビーサファイアでのサイクリングロードの下でのライバルとの対決をご存知の方にはわかりやすいかと思います。

強いライバル、であるためにライバルとされるトレーナー達は代々主人公が選ぶポケモンに対しタイプ相性が有利なポケモンを選んできたわけです。

一方、サンムーンでライバルの1人となるハウは、主人公の選んだポケモンに対し相性の悪いポケモンを選びます。これはホップとの共通点です。

立ち位置も似たものがあり、ホップの兄は偉大なチャンピオン、ハウの祖父も偉大なしまキングという従来の四天王にあたる存在です。身内の存在に対し自身もそうあらねばならない、と思いそして高い理想と現実とのギャップに苦悩し、主人公に遅れをとることもある…とこの2人には共通点が多いのです。(まぁハウはマイペースなのでホップほど思い詰めた姿を見ることは無いですが)

ここまで考えた時に、ホップが主人公に対し有利なポケモンをエースに据え、主人公(プレイヤー)が苦戦するのでは、ストーリーの整合性が怪しくなりますし、立ち位置もおかしくなってきます。ホップくんは、主人公に対して常に上をいく存在ではない訳です。

先述のホップが選ぶポケモンのタイプについて、過去作のライバルの強さと絡めてポケモンの低難易度化の文脈でこのことが拡散されていたわけですが、私は難易度の低下を狙ってホップやハウの選ぶポケモンが設定されたとは思いません。彼らが主人公に対し不利なポケモンを選ぶこと、そして過去作のライバル達が主人公に有利なポケモンを選ぶことは、ストーリー展開に必要だから、という理由があると思います。

シメ

さて、まだ書きたいことはたくさんあるのですが、記事が長くなってきたしキリがいいのでこのへんにしときます…。 また気が向いたらストーリーについての話かパーティ構成の記事を書こうと思います。では